【木造住宅のつくり方(工法)の話】/ 富士・富士宮・三島フジモクの家
【木造住宅のつくり方(工法)の話】
■ 木造住宅にはどんなつくり方(工法)がある?
木造住宅のつくり方(工法)は、細かく見ると種々ありますが、大きく分けて2つに分類されます。
それは、「在来工法」と呼ばれる木造軸組工法と「ツーバイフォー」と呼ばれる木造枠組壁工法です。
■ 「在来工法」ってなに?
古代より日本の住宅は、柱と梁を組み合わせた構造(軸組)でつくられてきました。長い間、接手や仕口などの木の加工のみで組み合わせる(「伝統工法」と呼ばれる)工法でしたが、戦後(建築基準法が制定されたのは昭和25年)、柱と梁の組み合わせ部分を金物で補強し、筋交いや合板などで壁の強さを高めるなど様々な改良を経て、日本の木造住宅では主流となっている工法です。耐震性について触れておくと、建物の揺れに対する構造の考え方が、「伝統工法」の粘りで揺れを吸収する柔構造から「在来工法」では揺れを受け止める剛構造に変わり、大きな地震で災害が起きるごとに耐震性能の基準が強化されてきました。
■ 「ツーバイフォー」ってなに?
2インチ×4~10インチの木材で組んだ枠に合板を釘打ちしたパネルを組み合わせて床、壁、天井などが面となって構成される工法です。1830年代にアメリカで原型となる工法が開発されたのが始まりで、日本には明治初期に北海道開拓に伴う建築物に導入され、その後生活の洋風化が進む中で輸入住宅として建てられていました。戦後の高度成長期に入ると、規格化された材料で量産が可能な工法として普及しました。
■ 「在来工法」と「ツーバイフォー」、どちらが良いの?
結論から言うと、つくり方(工法)の比較では、どちらが良いということはないと思います。
よく言われてきたのは、「在来工法」は軸組でつくるので大きな開口や自由な間取りがつくれるなど設計の自由度が高く、間取りの変更などの増改築も比較的容易にできるが、建てる業者の技術力によって建物の品質が左右されやすい。それに対して「ツーバイフォー」は枠組みでつくるので間取りなどの設計や増改築で制限される部分があるものの、木材の規格が統一され組み立て方もシステム化されているので施工品質にばらつきが少なく、耐震性、気密性、防火性が高い。といったところがお互いの長所と短所でしょうか。
設計や増改築の自由度は構造計算による設計をすればたいして変わらないし、プレカット加工が普及し、様々な改良が進められてきた現在では、施工品質の確保や耐震性、気密性、耐火性など性能の担保についても同等と考えていいでしょう。
■ では、なぜフジモクは「在来工法」なの?
これも結論から言うと、長年培ってきた経験や技術を捨ててまで「ツーバイフォー」に移行する理由がないということです。ただし、「在来工法」で括られた中で、より性能や品質が高まる工法への探求は続けています。
そして、私たちはどんな工法で家づくりをするにしても絶対ブレないことがあります。それは、「丁寧につくる」ということと「木材を自分の目で選ぶ」ということです。
「丁寧につくる」とは、どんなに規格化された材料や施工方法であっても、最終的につくりあげるのは人です。求められる形、品質、性能などをそれ以上に心を込めてつくる姿勢で家づくりをしていきたいと思っています。
「木材を自分の目で選ぶ」とは、地元の山で育った木を活かして住む人の健康を育む家をつくりたい。それには、木材の選定を業者任せにせず、自分たちが直接選んで使うことが大事だと思っています。
地元の林業家や製材工場との関係を密にして、より良い木材を探す努力を惜しまない。自分たちが納得して選んだ木材を使って丁寧につくる。これはどんな工法であろうとも絶対必要なことだと考えます。
(文:一級建築士・宅地建物取引士・暮らし省エネマイスター 川口祐介)