【自然素材の話~素材を吟味する】/ 富士・富士宮・三島フジモクの家
【素材を吟味する】
これまで、日本の森林と木の話から始まり、住宅に使われる木と自然素材のお話をさせていただきました。
フジモクは木の家づくりを手がけて40数年。
その時々で手に入る木材の樹種や仕上げの素材を吟味しながらご提案してきました。
例えば、モデルハウスやスタッフの家、そして社長邸などで使ってみることです。特に、新しい取り組みにトライするためには、実験的なモデルハウスを何棟か建設したこともあります。そこでは思い切って様々な素材を試してきました。その訳は、お客様の家づくりをご提案する自分たちが、本当にいいものだと確信したものを適材適所にお勧めするのが、つくり手の責任だと考えているからです。
素材の風合いや快適性を高める効果の有無、作業性、経年での変化などを見ながら、素材のコストと施工のコストも考慮するには、まずは使ってみなければ分かりませんね。
ムクの木の場合は、家の骨組みとして重要な役割のものですので入念に確認しています。産地によって木質に違いがあること、木材を生産する製材所によって製材技術や乾燥技術、材料の選別方法などに違いがあること、どの産地のどの製材所から調達するか流通のことにも気を配り実際に現地に出向き、自分たちの目で確認をしています。
自然素材の場合は、たとえば同じ珪藻土であっても塗り壁材として製品化されるためにはつなぎ材など他の材料を追加して調合しなければなりません。調合された素材も確認し、実際に作業する過程で職人さんの意見を聞きながら判断をしています。
また、堅さ、柔らかさ、水や湿気に対してどうなのかなどを確認して、どんな用途の部屋に使うのが適しているのか、水回りにお勧めする材料は何なのかなど適材適所でお勧めする素材を選定しています。
ひとつ、吟味した具体的事例をご紹介しましょう。
北海道のホタテの貝殻を焼成し粉末した素材が、ホルムアルデヒドや他のVOC(揮発性有機化合物)を吸着・分解する効用があるとのことで、社長邸の寝室の壁天井を、100%コットンで木粉をサンドした壁紙(ルナファーザー・チップス)を下地にホタテ塗料(ホタテペイント)の塗装仕上げに変えてみました。すると、加齢臭も気にならなくなり(笑)、すっと眠りに入れるような心地よい湿度と空気感になりました。この実体験を踏まえ、室内環境を快適にする塗料の素材としてホタテ塗料(ホタテペイント)を珪藻土と共に標準仕上げに採用しました。
家づくりに使われる素材をしっかり吟味することは、その効用や安全性など自信をもってお勧めすることができ、お住まいになるご家族に安心して暮らしていただくと共に末永い信頼関係を築くことにつながります。そして、このような適材適所での素材の活かし方を模索していく姿勢は、これからの家づくりにきっと役立つと思っています。