【自然素材の話~板張り(板壁)の素材】
【自然素材の話~板張り(板壁)の素材】
「自然素材の話」シリーズ、前回は塗り壁の素材『紙と布』のお話をしました。
前回はこちらから>>https://www.fujimokunoie.jp/blog/【自然素材の話~壁紙の素材『紙と布』】
今回は、『板張り(板壁)』のお話です。
木の板を床だけでなく、壁や天井に張って仕上げることを板張り(板壁)と言います。まずは、板張りの歴史から見ていきましょう。
【板張りの歴史】
登呂遺跡の高床式倉庫に見られる板校倉(いたあぜくら)、東大寺正倉院の校倉造(あぜくらづくり)、勢神宮正殿の神明造(しんめいづくり)のように古墳時代ごろまでの神社仏閣や高級家屋では板壁が一般的でした。板壁は、火やすきま風を防ぎにくくしだいに塗り壁に取って代わられてしまいましたが、海岸地方など風の強い地域では塗り壁は傷みやすいため、現在でも多用されているそうです。近年は、木材の乾燥技術の発達により、壁材として、さらに難燃加工や塗装などを施して外壁材として住宅にも広く使われるようになりました。
【板張りの種類】
板張りは、板を横長に使って張り重ねる横羽目(よこばめ)と縦長に並べる縦羽目(たてばめ)があります。すきのあかないように板と板との合せ目に実矧(さねはぎ)や、合决(あいじゃくり)などの加工を施すやり方があります。また、目地を一定幅に開いて張ることもあります(透し目地)。素材は、様々な樹種を板状に加工したムク板や合板、木材を0.2mm~0.6mmほどまで薄くスライスしたもの(突板)を、合板の上に貼り付けた突板化粧合板などもあります。
【板張りの効能】
ムクの板は自然素材の風合いや肌に伝わる温もり、香りなどの効能に加えて、自然に湿気を吸収・放出し室内の湿度を調整する調湿性能があります。実際に実験したデータでは、木材の湿度保持能力は空気中の湿度保持能力に比べて数倍大きいため、木材中からの水分の出入りで室内の湿度を適度にコントロールすることができるということが実証されています。板張りは、塗り壁、自然素材の壁紙などと組み合わせて適材適所に上手に使うことで、梅雨(つゆ)の時期にはジメジメした湿気を吸収してくれ、冬の乾燥した時期には湿気を吐き出して乾燥を和らげるなど、一年を通じて爽やかで快適な室内空間にしてくるのです。
フジモクの家では、標準仕様の富士ひのきと天竜スギの床板に合わせて、壁や天井などにヒノキ、スギ、米杉などのムク板や突板化粧合板で仕上げるご提案をしています(ちなみに、和室の天井はシナ合板目透かし張りが標準です)。リビングの腰壁や壁の一面のみ板張りにしたり、キッチンカウンターの壁を板張りにして部屋のアクセントにしたり、浴室にはサワラやヒバの板張り、外部では軒天や玄関まわりの外壁にスギの板張りをお勧めしています。
引用参考サイト:
ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/
コトバンク https://kotobank.jp/