【自然素材の話~塗り壁の素材『珪藻土』】/ 富士・富士宮・三島 フジモクの家
【自然素材の話~塗り壁の素材『珪藻土』】
前回、家の内部を仕上げる方法(内装材)にはどんなものがあるのか整理してみました。
前回はこちらから>>https://ameblo.jp/fujimokunoie/archive8-201802.html
今回からいよいよ仕上げ材としての自然素材のお話。第1回目は、塗り壁の素材『珪藻土』のお話です。
【珪藻土とは】
珪藻土とは、海や湖沼などで発生した珪藻の死んだ殻が水底に沈殿して化石になった土(堆積岩)のことです。では、珪藻とはどんなものなのでしょう?
・珪藻と呼ばれるもの ワカメやコンブなどの海藻と同じ藻類に属し、水に浮遊しながら光合成を行う植物プランクトンの中で細胞の周りに殻をもつものです。
・水のあるところなら、いたるところに生育しています。
・大きさはほとんどが 0.1mm 以下、殻の形はさまざまで、精巧で緻密な模様の小孔が刻まれています。
・珪藻の殻は、ガラスと同じ二酸化珪素(SiO2)でできており、珪藻土もこれを主成分としています。
どうやらとても小さなもので軽く、海にたくさんありそうですね。
【珪藻土の用途と歴史】
珪藻土の特徴がわかったところで、次は使い道や歴史についてです。世界各地に存在し、日本でも80カ所ほどで採取されている珪藻土。その用途や歴史についてみてみましょう。
古代ギリシャでは研磨剤や軽量レンガなどに利用されました。ワケは、珪藻の殻には小孔が多数開いているため体積あたりの重さが非常に小さいながら適度な硬さがあり、耐火性や断熱性にも優れているという性質からなんです。また日本では、壁土の他に七輪やコンロ、耐火レンガなどに利用されました。驚くことに江戸時代の飢饉の際には珪藻土を食べて飢えをしのぎ、太平洋戦争中にはビスケットや乾パンなど食品の増量剤として使われたこともあったそうです。その後、多数開いた小孔が大量の水分や油分を保持できることから、ビール製造過程のろ過材や土壌改良材としても使われるようになり、近年は、塗り壁材として広く使われるようになりました。
建材としての珪藻土が、時に食料になっていたとは…。みなさん、ご存知でしたでしょうか?
【珪藻土の塗り壁材としての効果】
それでは、フジモクが内装仕上げの標準仕様を珪藻土の塗り壁としている理由である、その効果のお話をしましょう。
●調湿機能
珪藻土の最大の特徴は多孔質であるということ。穴の直径は2~50ナノメートル(ナノメートル=10億分の1メートル)で、穴の数は木炭の5000~6000倍といわれています。この無数に空いた穴により、湿気を吸ったり出したりします。つまり、夏場の暑く湿気が多い時は湿気を吸収し、冬場の寒く乾燥している時は放出するので、人間にとって快適な湿度40~60%に近づけてくれるのです。室内の湿度が調整されることにより、結露の解消や、湿気によるカビの発生を抑える効果もあります。
●脱臭消臭機能
臭いは「におい分子」と呼ばれる空気中に揮発する化学物質の集合体です。それが鼻の中の嗅細胞にぶつかることで臭いを感じます。におい分子は空気中の水分子(湿気)に溶け込むので、その湿気を吸収すれば臭いも消えるという訳です。逆に湿気を出すときには臭いも放出されますが、放出速度が極めて遅いため人間には感じにくいと言われています。
●防火性能
珪藻土自体が燃えない物質なので、他の仕上げ材より防火性能が高いと言えます。
快適さは居心地のよさ。目に見えない空気の質にいい影響を与えてくれそうですね。
一方で、私たち施工者にとっては、取り扱いの面で注意が必要なこともあるんです。
【塗り壁材としての注意点】
優れた特徴を持つ珪藻土ですが、塗り壁材として使用する際に注意する点があります。
珪藻土は単体では固まる性質がないので、つなぎ材(凝固材)を混ぜ合わせなくてはなりません。そのつなぎ材の種類や分量によって、珪藻土の効果が損なわることやひび割れの発生など表面の品質に影響がでることがあります。フジモクは、珪藻土の効果が発揮される素材調合がされた塗り壁材を使い、汚れ落としや補修等のメンテナンスをちゃんとしていくことが大事だと考え、材料の選定と経年のメンテナンス対応をしています。
引用参考サイト:ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/
以上、自然素材である塗り壁の素材『珪藻土』のお話でした。
次回は、フジモクの家でも珪藻土と共によく使う塗り壁の素材『漆喰』のお話をします。